日曜日, 6月 19, 2005

☆義経一ノ谷へ(馬上の閃き) 2005



運命の時は刻々と迫っていた。須磨の海に陽が昇ってくると、源義経は、日輪に向かい短く祈りを捧げた。次の瞬間、軍神は義経に憑依(ひょうい)し、神となった義経は地を蹴ってたちまち馬上の人となった 。

方々、畏れるな。神仏の加護は我らに有り。あの日輪に向かい、この坂を下るのだ

愛馬は、その叫声に一瞬怯(ひる)んだが、たちまち主の意を酌み目を見開いて嘶(いなな)いた。義経ら70騎の精兵たちは一塊の火の玉となって、一ノ谷の急坂を転がる落ちるように下って行った。 2005年春、鬼才村山直儀は、一ノ谷合戦の奇跡を、義経と愛馬の「人馬一体」の構図に凝縮させた。この新作の画面一杯にみなぎる緊張感とその圧倒的なスピード感は、凄まじいの一語だ。(佐藤弘弥)