日曜日, 6月 19, 2005

☆ニーナ・アナニアシュヴィリの肖像 2001



ニーナ・アナニアシュヴィリの肖像は、村山直儀という孤高の芸術家が、到達した画境を示す傑作である。現代最高のバレリーナ「ニーナ・アナニアシュヴィリ」との出会いを通じ、画家は己の芸術性をかけて彼女の高い精神性をカンバスに描き切ろうとした。その並々ならぬ決意が、この絵の端々から伝わってくる。通常であれば、バレリーナを描く場合、踊っている姿を描きたくなる所だ。それを鬼才、村山直儀は、意識的に舞台に立つ前の静止した上半身だけを描いた。村山は、「ニーナには、神が宿る。ステージに立った瞬間、神は彼女の肉体に入って踊るのだ」と語っている。とすれば画家は、神が舞い降りる一瞬を描いたことになる。こうして20世紀後半を代表するバレリーナ「ニーナ・アナニアシュヴィリ」は、村山直儀の天才によって、永遠のヒロインとしてカンバスに刻印されたのである。(佐藤弘弥)