金曜日, 6月 17, 2005
☆藤原清衡の夢 2005
村山直儀の新作「藤原清衡の夢」は、柳の御所趾に最後に一本残ったし だれ桜を救う祈りをもって描かれた作品である。平泉の 柳の御所跡が、初代清衡公の眼というフィルターを通し濃い緑色で幻想的に描かれている。古来から歌に詠まれた北上川と束稲山が観る者に何かを語りかけてく る。その中で、一本のしだれ桜が物憂げに首うなだれている。村山は、「時空を越えた感覚で描いた」とだけ語った。その短い言葉に、村山自身の平泉への深い 愛とやるせない悲しみを感じた。これは人間の身勝手で日々移り変わって行く「平泉の原風景」への鎮魂画とも表すべき作品である。なぜなら、私たちはここに 描かれた柳の御所跡の原風景を、村山のこの画でしか拝めなくなってしまったからだ・・・。(佐藤弘弥)