土曜日, 6月 18, 2005

☆希望 2004



村山直儀 の新作「希望」(若き女優の肖像)は、信じられないほど美しい作品だ。とかく、私たちは、マリリン・モンローを、「セックスシンボル」というイメージで見 がちだ。しかし村山はモンローを若き女神と見る。そしてそのうら若き女神の瞳の中に、「希望」を見い出しているのである。画家村山は昭和11年東京京橋に 生まれた。敗戦後、彼が青春時代を送った昭和20年から30年代にかけて彼はアメリカの文化の虜となった。村山は語る。「ジャズやカントリーや映画など、 アメリカ文化のすべてが美しく希望に満ちあふれていた」と。村山の描くマリリン・モンローは、まさに当時のアメリカそのものである。そしてこの美しき女神 は、第二次大戦後、平和を謳歌しつつあった日本の若者の「希望」でもあった。私はこの村山の「希望」に、画家のノスタルジーと現代アメリカへの強いメッ セージを感じとってしまう。今だ世界は戦争のど真ん中にいる。世界平和への「希望」を抱きつつ、芸術家村山が祈るようにして、この画を描き上げたことを私 は知っている。(佐藤弘弥)